12月28日

 エアコンを消して眠ったものの、今日は冷え込みが厳しかったのか、ほんの少しだけ喉に違和感がある。今日はエアコンをつけて寝ようと思いつつ、テレビをつける。日本各地の雪の映像が映し出されている。視聴者から提供されたのだろう、歩きながら雪の降る街を移している動画が流れる。通勤客が歩いていく。足元を確認する様子もなく、これはきっとこけてしまった動画だろうなと思って眺めていると、通勤客を追い越そうとした自転車が撮影者にぶつかり、「痛!痛!痛!」と撮影者が叫ぶ。謝りながら去っていく自転車に乗った男性に、「雪なめないでくださいね!」と言う動画が何度か流れ、これは何度も流すほどの動画なのだろうかと、なんとも言えない気持ちになる。

 コーヒーを淹れて、たまごかけごはんを平らげる。昼はキャベツと鰹の塩辛のパスタ。14時に家を出て、秋葉原へ。PCR検査センターには10数人が列を作っていて、ボードを渡され何か記入している。受付は事前にGoogleフォームで行う方式に変わったはずなのに、何を書かされているのだろうと不思議に思いつつ、最後尾に並ぶ。ときおり「予約してないんですけど、受けられませんか」とスタッフに尋ねている人がいる。申し訳ないんですけど、明後日ぐらいまで予約で一杯なんですと断っている。政府が無料のPCR検査を始めたというのはニュースで知っていたけれど、あれは政府が検査場を開設したわけではなく、この検査場も含めて民間の検査場に予算を割き、都内在住であれば無料で検査が受けられるようになったとのことで、シートに記入すると無料で受けられるようだった。書くのが面倒だったのと、そんなことで政府の世話になりたくないのとで、「有料で受けるんで大丈夫です」と断る。

 10分ほど並んで、ようやく順番がまわってくる。すぐに唾液を採取し、神保町まで歩く。歩きながら、断らずに無料で受ければよかったなと思い返す。たとえば病院で診察を受けるときには保険証を提示して、3割だけを自分が負担している。残りは国に払ってもらっているわけだ。それなのに、PCR検査だけ頑なに「自腹で払うんだ!」と思っているなんて、ちょっと滑稽だ。「東京堂書店」をのぞき、年の瀬だし、少し前に原稿料がわりにいただいた8000円分の図書カードがあることだし、値段はまったく気にせず本を買う。会計をしてもらうと3万円で、さすがに動揺する。6600円の『「ローリング・ストーン」の時代』が効いている。どこかで書評を書き続けられたらいいのになあ。noteかどこかで自主的に書き続けるという手もあるけれど。

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 新御茶ノ水駅から千代田線に乗る。帰りに「I 本店」に寄って、熱燗に向いた酒を尋ねて、年末年始に向けて追加で2本ほど買っておく。この酒屋の近くに、講談社発祥の地という石碑があり、引っ越してきたときからその石碑の存在は知っていたけれど、自分が講談社から本を出すことになるとは、その時点ではあまり現実的なことだとは思っていなかった。16時過ぎに家にたどり着くと、レターパックが投函されている。中身は献本された本で、表紙をめくると扉に署名が入っている。ページをめくると、そこにはまえがきがあるのだが、マジックで署名を入れてあるので裏に写り、文字が読みづらくなっている。僕への献本にだけ署名を入れてくださったわけではないだろうから、なんか、すごいなと思ってしまう。

 帰宅後はおでんを仕込んで、19時に晩酌を始める。昨日はいい加減な記憶をもとに書いたから、書きそびれていたおでんの種がいくつもあった。大根、玉子、こんにゃく、厚揚げ、ちくわ、つみれ、ちくわぶ、はんぺん、それに魚河岸あげ。魚河岸あげというのは、魚のすり身と豆腐を混ぜ合わせた練り物で、紀文のサイトによれば「紀文を代表するロングセラー」だという。スーパーで見かけて初めて買ってみたのだけれども、知人にも好評だった。最初のうちは『M-1アナザーストーリー』を観ていたけれど、どうにも人情噺的な側面が強く、途中で再生を止める。テレビ画面に、リアルタイムで放送されている『さんま御殿』が映り、高市早苗が出演している。こういった番組に政治家を出演させる責任を、番組側は認識しているのだろうか。「なんだ、気のいい関西弁のおばちゃんじゃん」という印象を広めることの責任を、どう捉えているのだろうか。これはさすがにありえないだろうと憤りつつ、『ロッキー4』に切り替える。友情と、老いと。「ソ連アメリカ、国境を越えた感動」という終盤の展開はいかにもアメリカだなあという感想は残るにしても、良い映画だった。観たこともないのに「『エイドリアーン!』って叫ぶ、ベタベタな展開の映画だろう」とたかを括っていたけれど、『ロッキー』と『ロッキー4』を観れてよかった。