4月22日

 7時過ぎに目を覚まし、ジョギングに出る。横手で大量にやきそばを食べて過ごしたので、ダイエットしなければ。ずいぶん久しぶりのジョギングで、NIKEのアプリで確認するとほぼ1年ぶりだった。不忍池まで往復4キロほど走ったのち、風呂に湯を張り、入浴。これから移動続きだから、東京に戻った日は体を休ませなければ、また体調を崩してしまう。それに、横手は昼と夜の寒暖差が激しかった。最高気温が25度の日もあれば、朝は10度くらいのこともあった。ちょうどテレビで「寒暖差が激しい気節は、自律神経が乱れ、疲れを感じやすくなる」とやっていて、自律神経を整える手段のひとつとして入浴が挙げられていた、というのもある。湯に浸かりながら、横手の資料を読みふけった。

 昼、知人の作る鯖缶とトマト缶のパスタを平らげる。今日はPCR検査を受けることもあり、ビールは我慢した。食後は箪笥の整理をする。もう着ない服や、記念品にもらったものの開封すらしていないタオルは処分してしまうことにする。これからはジョギングを再開したいところだが、短い靴下がほとんど見当たらなかったので、PCR検査前に秋葉原ヨドバシカメラ7階に入っているユニクロに立ち寄る。短い靴下を3足と、ドライクルーネックTシャツみたいなやつを2着買い求める。速乾素材のさらさらしたシャツ、もうすでに3着持っているけれど、ジョギングに使うだけでなく、これからの季節はこれを部屋着にしようと、買い足しておいた。ヨドバシカメラも大勢の観光客で賑わっていたけれど、PCR検査場も海外からの旅行客が目立った。

 15時15分に根津まで引き返し、バー「H」へ。やきそば、食べてこられたんですかとHさんに声をかけられ、「2日で9軒食べてきました」と告げると、Hさんは笑っていた。スーパーで売ってたやつで恐縮ですけど、お酒のあてにでも、といぶりがっこを渡し、ハイボールを2杯飲んだ。先週にも増して、根津界隈にはつつじまつりを見物にきや人たちで溢れている感じがする。千代田線で国会議事堂前に出て、16時過ぎに国会図書館に入館したものの、土曜日だから閉館時間も早く、請求が必要な資料はもう閲覧できない時間になってしまっていた。すぐに退館し、飯田橋で木村和平の写真展「石と桃」を観る。和平さんも在廊されていて、さっきまでかなり混んでたんですけど、ゆっくり見てもらえてよかったです、と声をかけてくれる。

 有楽町線で池袋に出て、「古書往来座」へ。先日買取をお願いしたぶんの代金を受け取る。棚を眺めていると、あー、なんで消えちゃうんだろう、と、奥で作業をしているセトさんの声が聴こえてくる。帳場にいるのむみちさんと少し立ち話をしていると、「全然話は変わるんだけどさ、東大、ほんと残念だよね」とセトさんが言う。時間が経っても、残念だという気持ちが薄らぐことがない。

 池袋駅まで歩き、無印良品を冷やかす――くらいのつもりだったのに、ふとスーツケースが目にとまり、ああ、もう、今日買ってしまおうと思い立つ。ずっと使っていた無印良品のスーツケース、少し前からチャックが壊れかけていたのだけれども、明日からの沖縄行きに向けて確認したところ、まったくチャックが閉まらなくなっていた。無印良品のスーツケースは3万円近くするから、ちょっと今月のところは購入を見送って、明日はボストンバッグにしようかと考えていたのだが、なんにせよいつか購入しなければならなくなる。だったらもう、今日買ってしまおうと、スーツケースを買い求めた。

 スーツケースを引きながら、三省堂書店に立ち寄り、『サーカスの子』を買う。大学生ぐらいの若い男子二人組が、小説の棚の前に立ち、本を手に取っている。「あー、思ったより(ページ数が)多いな」と、ひとりがつぶやく。「たしかに。本読んでみたいと思うんだけどさ、読むのが疲れるよね」「俺も、本読んだほうがいいんだろうなと思うんだけど、通学の時間は結局、韓ドラばっか観てるわ」。ちょっと絵に描いたような会話だなと思いながら、聞き耳を立てる。今の大学生ぐらいでも「韓ドラ」って言うのか、と不思議に感じる。そして、きょうび「本を読まなければ」と思っている若者は珍しいのではないか。山手線で西日暮里に出て、千代田線に乗り換えて千駄木まで帰ってくる。駅周辺ではいろんな候補が「最後のお願い」をマイクで叫んでいる。この人たちは普段どこにいるんだろうか。こんなふうに選挙戦のときだけでなく、日頃から辻に立っている人がいれば、悩むことなくその人に投票するのになと思いつつ、団子坂を上がる。