2月20日

 5時頃に一度目を覚ましたものの、二度寝をする。7時50分頃に起き、フライトレーダーのアプリを起動し、いちばん視聴者数の多いフライトを見る。シチリアを飛び立った無人偵察機グローバルホークが、ウクライナ上空を何度もなぞるように飛んでいる。明日搭乗予定のGK303便を検索すると、ちょうど成田空港を飛び立つところだ。滑走路を北北西に飛び立った飛行機は、利根川をこえたあたりで大きく旋回する。その動きを画面上で眺めながら、いつも機内で過ごしているその時間がありありと思い浮かべる。

 10時過ぎ、雨があがったところで洗濯機をまわす。昼は知人の作るトマト缶とサバ缶のパスタ。14時を過ぎたあたりでベランダに出てみると、雨が降りそうな気配があるので、洗濯物を取り込んで部屋干しにする。知人が映画を観に出かけていったあと、テレビでは競馬中継が始まる。明日からの旅の荷造りと、このあと出かける準備をしながら、フェブラリーステークスを観る。A.Iさんの好きなソダシの走りを見届けると、すぐに家を出る。千代田線と山手線を乗り継ぎ、池袋へ。劇場のロビーに行ってみると、終演から20分経っているけれど、まだ公演の余韻が残っている。しばらく外で待ったあと、中に入り、鼎談を収録する。収録が始まる前に、Fさんが無言でビールを差し出してくれたので、飲みながら話を聞く。ちょっと文字数が多くなるのを承知で、最後に2つ、話を聞いているなかで気になったところを御三方に伺う。収録が終わったあと、遅くなったけど、パリのお土産、とA.Iさんが包みを差し出す。包みをあけてみると、白熊のオーナメントが入っている。クリスマス前に買ってたんだけど、とAさんが言う。表面には緑色のラメみたいなものがついていて、きらきら光っている。藍染の話で「衣装の色が手につく」という話をしていたところだったので、「その緑色のやつも、手につくよ」とAさんが言う。

 デパ地下で刺身の4種盛りとそら豆、茄子の煮浸し、筑前煮、それに日本酒を2本買って帰途につく。ビールを飲みながら明日の荷造りをして、19時からしっかり晩酌を始める。昨日観れなかった、大悟と長渕の対談、やはり面白かった。大悟はどうしてこんなにも上品なのだろう。途中、貧乏という話になったとき、松本人志もそこに割って入る。日本って、やっぱり貧しかったんだよなあと思う。こうしてみると、景気が良かった時代がマボロシのように何年間かあって、それが元に戻っただけとも言える。自分はバブル景気を肌で感じられた年齢ではないけれど、その時代だけが特異だったのだろうなと思う。そこにまつわる感覚を、なにかしらの形で言葉として拾い集めるとしたら、どんな切り口がありうるだろうかと考える。