1月17日

 8時過ぎに目を覚ます。明後日は早起きしなきゃいけないことを考えると、今日のうちに生活リズムを調整しなければ。朝は昨日の鍋の残りを平らげ、最後は雑炊にする。昼はサッポロ一番塩らーめん。やっぱりこっちのほうがしっくりくる。16時過ぎに家を出て、まずは秋葉原へ。カメラのKに行き、センサークリーニングを申し込む。受付にいたスタッフの方が、「ああ、やっぱりD6は持ちやすいなあ、僕も買おうかどうか迷ったんですよ」と言う。カメラが好きで、こういうお店で働いているのはいいことだなあ。センサーに大きめのホコリがついちゃったので、クリーニングをお願いしますとカメラを預け、ヨドバシカメラあたりにあるパン屋でアイスコーヒーを注文し、軒先のテーブルで仕事をする。外国人観光客がたくさん通り過ぎていく。

 17時45分にPCR検査をして、カメラを受け取り、都営新宿線で九段下に出て、日本武道館へ。開演時刻は10分後に迫っているので、小走りで会場に向かう人もいる。ファッションの感じも様々だ。それぞれまるで違う日常を送っている人が、同じ人の音楽を聴いていて、ライブで観るのを楽しみに集まっている――最近はライブを観にいくことから遠ざかりかけていることもあって、そのこと自体が不思議に思えてくる。会場に入って、売店まで行ってみたけれど、フードとソフトドリンクは販売されていたけれど、缶ビールは売られていなかった。自分の席に座り、ライブを観る。カネコアヤノは格好良い。言葉に、歌に、まっすぐだ。手術が決まり、くよくよした気持ちでいるけれど、そんな気分にひかりが射したような心地がする。日々の暮らしの中で、自分にとって大切なところ、背骨のようなものは何なのかと、再確認するような時間だった。そして、このまっすぐな言葉に負けないような言葉を書かなければと思う。

 ライブはMCがないまま進んでいく。最後に少しだけ言葉を語って終わり、アンコールもないまま終演となる。この潔さも心地よい。終わったあとは規制退場となり、群衆の中のひとりとして、のそのそ武道館を出る。雨が降っていて、半分くらいの人は折り畳み傘をさしていたけれど、雨なんて想像していなかった(洗濯物を干しっぱなしで出てきてしまった)ので、濡れながら歩く。近くを歩いている若者が「はー、実家に帰りたくなったわ」と話していて、今日のライブのどこがどう刺さってそんな気持ちになったのかはわからないけれど、詳しく話を聞いてみたくなる。武道館の敷地を出るあたりまでは人の流れがスムーズだったけれど、道路に出たところで流れが止まっているのが目に入る。ここから九段下駅に行こうとすると、かなりの混雑に巻き込まれてしまいそうだ。それならばと歩道橋を超え、靖国神社側にわたり、タクシーを拾って「近くですいません、神保町駅までお願いします」と伝える。神保町から大手町、千駄木と乗り継ぎ、家にたどり着く頃には21時になっている。出発前に煮込んでおいた鍋をつまみに酒を飲み、『グランド・ブタペスト・ホテル』を観た。