4月19日

 7時過ぎに目を覚ます。コーヒーを淹れて、スープ春雨(12食入りの最後の1食ぶん)を平らげる。9時25分に家を出て、タクシーで上野駅へ。「新幹線ですか?」と尋ねられ、「はい」と答えると、「じゃあ中央口ですね」と、運転手さんは不忍通り経由で上野を目指す(新幹線だということを伝えなければ、団子坂を下りた先も直進して、まっすぐ上野に向かう運転手さんが多い)。タクシーをつけてくれた「正面玄関口」は裏口にしか見えなかった。改札をくぐり、山形新幹線に乗車し、横手へ。滞在中のことはほとんど原稿に書く。それ以外のことで言うと、終点の新庄駅で新幹線を降り、奥羽本線に乗り継いだのだが、電車が出発する時間になったところでそれがワンマン電車だということに気づいた。今回は紙のきっぷではなく、モバイルSuicaにeチケットを登録して乗車していた。自分が降りる予定の駅は、横手ではなく、ひとつ手前の柳田駅だ。これはもしや、無人駅ではと検索してみると、やはり無人駅だ。というか、よくよく検索してみると、秋田の在来線の駅にはまだSuicaが導入されていないらしかった。今回のきっぷは、JR東日本の「えきねっと」から、上野駅→柳田駅で検索して手配したものだ。えきねっとから申し込んでも、紙のきっぷを発券する形で申し込むこともできるけど、それだと手間が増えてしまうから、できればモバイルチケットで乗車したい。ただ、検索した区間Suicaで下車できない区間なのなら、モバイルチケットが手配できないようなシステムにしておいてほしい、というのはわがままだろうか。柳田駅で現車するとき、運転士に事情を話して新庄―柳田間の1340円を支払って電車を降りた。

 15時に横手市に辿り着いてから、3軒のやきそば屋をはしごする。最後に選んだ1軒は居酒屋だ。カウンターに案内され、「これ、やってみます?」と、店員にQRコードの印刷されたレシートを手渡される。え? と戸惑っていると、カウンターに設置された紙を差し出される。どうやらこのお店は、メニューを廃し、店員さんが注文をとりにいくシステムも廃して、QRコードから申し込みをして、モバイルオーダーをする方式を採っているらしかった。ちゃんと説明してくれればいいのになと思い長r、メニューを眺める。オーダーはモバイルだとしても、やはり紙のメニューがあると選びやすいなとまごつきつつ、まずは地酒をオーダーする。5分くらい経ったところで、店員さんが桝とグラスを運んできて、カウンターに酒を豪快にこぼしながら「サービスでーす」と去っていく。なんやこいつと思いつつ、カウンターをおしぼりで拭き、食べ物のメニューを眺める。品切れ、と表示されている料理もいくつかある。3食目のやきそばを食べるつもりだから、お腹に余裕は残しておきたいなと思っていると、「イモの子汁」というのがあった。昭和44(1969)年に出た『ふるさとの味 パノラマ旅行 東日本篇』の中にも「イモの子汁」というのがあったなと、それを注文する。すると、数分経って、「これ、ないんで引いときます」と、店員がレシートをカウンターに置いて去っていく。早めにやきそばを平らげて店を出た。リアルタイムで『水曜日のダウンタウン』を観ようと、赤ワインのハーフボトルをコンビニで買ってホテルにテレビをつけてみると、TBS系列の放送局が見当たらなかった。