11月17日

 5時半に目を覚ます。6時25分にアパートを出て、成田空港に向かう。スカイライナーは同じ車両に3人しか乗っていなかった。第二ターミナルから第三ターミナルに向かうシャトルバスもがら空きだ。第三ターミナル(つまりLCC専用のターミナル)に到着してみると、この1ヶ月のあいだに配置が変わっている。ピーチ航空のチェックインカウンターが別のターミナルに移転したことで、ジェットスターのカウンターが広くなっている。そして、これまでは預け荷物はカウンターで手続きをしていたのだけれど、乗客が自分で機械を操作して荷物を預けるシステムに切り替わっている。空港での手続きをなるべく簡素化するために事前にオンラインチェックインをしているというのに、この変更にともなって空港での手続きが増えてしまっていて、元も子もなくなっている。

 荷物を預け終えたところで、コンビニエンスストアでおにぎりを購入し、保安検査場に向かう。その途中にフードコートがある。ここ数ヶ月は、マスクを外してフードコートで談笑する集団があちこちにいて、ちょっと、ぎょっとすることが多かった。でも今日は、ここ数日は全国的に感染者数が増えているせいか、フードコートでコーヒーを飲んだり食事をしたりしている人たちも、飲食時以外はマスクをしたまま談笑していてホッとする。保安検査場を通過し、搭乗口に向かっていると、大学生くらいの若者グループをちらほら見かける。大声で話している姿に、別の飛行機だといいなと淡い期待を抱いていたけれど、彼らも同じ飛行機で、ぼくの真隣だった。

 那覇に到着してみると、荷物受取所に制服姿の集団が整列していた。鹿児島から到着した修学旅行生のようだ。あの学生たちは、どんな気持ちで旅に出たのだろう。那覇は想定していた以上に暑く、すぐに半袖に着替えてゆいレールに乗り込んだ。飛行機はあんなに混んでいたのに、ゆいレールはあいかわらず空いている。国際通りではレンタル衣装で琉装に着替えて散策する女性たちの姿を見かけた。まずはホテルに荷物を預け、界隈をぐるりと歩く。「飯ト寿 小やじ」に立ち寄り、アジフライ定食と生ビールを頼んだ。「いろいろお世話になりました」と言われて恐縮しつつ、アジフライを平らげる。ビールは1杯だけで我慢して、パラソル通りでテープ起こしをする。ひとつ隣のテーブルで、読書する人の姿がある。パラソル通りにある「みんなのほんだな」――自分が読み終えた本を持ち寄って作られる本棚――に並んでいた本を手に取って読んでいたのだが、その男性が足元にやたらと唾を吐いているのが見えてしまって、14時にはホテルに向かって、チェックインの時間までロビーで作業を続ける。

 18時過ぎにホテルを出て、まずは「足立屋」でせんべろセットを注文する。ほどなくして隣に大学生風の4人組がやってくる。今日が沖縄最終日だから、限界まで飲もうぜと盛り上がっている。来店時にはマスクをつけていたから大丈夫かなと思っていたけれど、あごをマスクにずらしたまま度数の高い泡盛を注文し、「これはヤバい!」と騒ぎ出す。この感じは何だろう。7月に入ってから、那覇にも少しずつ観光客が戻り始めた。こういう感じの若者たち――「マスクはつけておいたほうがいい」とどこかで感じながらも、結局のところ流れでマスクを外して賑やかに過ごしている人たち――の姿を、今回はあちこちで目にしている気がする。早々に切り上げて安里まで歩き、「東大」でおでんを平げ、ゴン太を眺めて帰途につく。

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