12月23日

 7時過ぎに目を覚ます。9時になったところで、ごはんを解凍してたまごかけごはんを食べようと冷凍庫をあけると、もう冷凍ごはんは入っていなかった。近くのセブンイレブンに出かけて、自分用にたらこおにぎりと海苔の味噌汁、知人用におむすび&おかずセットと長ネギの味噌汁を買ってくる。自分のは朝食で、知人のはブランチ。お昼はキャベツとかつおの塩辛のパスタを作って平らげて、溜まっていた日記を、20日から遡って書き始める。11日はZAZEN BOYSを観たり、12日は昼にマームとジプシーを物販エリアから観せてもらったのちに見汐麻衣さんのライブを観たりと書いておきたいことはあるのだけれども、13日に何をして過ごしていたのかさっぱり思い出せず、14日まで遡ったところで止まってしまう。

 18時過ぎ、ボストンバッグに文芸誌のバックナンバーを詰めて家を出る。千代田線と山手線を乗り継ぎ、池袋に出て、「古書往来座」へ。昨日送っておいた本と一緒に、雑誌も買取をお願いする。雑誌は普段なら捨ててしまうことのほうが多いのだけれど、今回は「売ろう」という気持ちになった(『東京の古本屋』で取材しているときに、本は『買い取ってもらおう』と持ち込んでくれる人が多いけど、雑誌は少ないから古書として残りづらいという話を聞いたせいもある)。お金を受け取り、セトさん、ムトーさんと一緒に夜の街を歩く。東池袋では再開発が始まっていて、建物がパネルみたいな囲いで覆われたり、解体中の断面が見えたり。「ゲームのバグみたい」だとムトーさんが言う。

 19時ちょうどに「サン浜名」へ。予約を入れてあったこともあり、入り口近くのテーブル席に案内される。2台のテーブルは少し離して並べられており、アクリル板が立ててある。「これ、くっつけていい?」とムトーさんが尋ねたものの、マスターは「駄目!」と譲らなかった。感染症対策をちゃんと施して営業しているか、都の職員がときどき見回りにくるのだという。まずはビールで乾杯し、何を注文しようかと迷っているうちに先輩もやってくる。今日はボエーズの忘年会だ。恒例のハムエッグを注文しようとしたものの、ハムは品切れで、代わりにチャーシューエッグを頼んだ。

 途中で『東京の古本屋』の話になり、これまで取材を受けたことは何度かあるけど、それとはちょっと違う感じがする、往来座が最初に掲載されているから、この本を買った人はとりあえず往来座のところは読んでいるだろうから、とセトさんが言う。追加注文したチーズ天ぷらが運ばれてくる。それを一口頬張ったムトーさんが、不思議そうに天ぷらを見つめている。ちょっと食べてみて、これ、バナナみたいな味がするんだけど、と言う。それを聞いていたお店のママさんが、いたずらでバナナも入れてあるのと笑う。

 ビールを2杯か3杯飲んだあとは、ボトルを入れて薄めのお湯割りを飲んでいた。22時をまわったあたりで、最短ルートで帰れる電車の終電が出ちゃうと帰るのが面倒になるからと、一足先に帰ってゆく。僕らが入店してから、食事だけのお客さんが一人入ってきたけれど、その人が帰ってからは誰も入ってくる気配はなかった。途中でお店のママさんは帰ってゆき、マスターは客席に座ってくつろいでいる。僕の頭上あたりにテレビが設置されていて、僕の座っているところかは見えないのだけれども、何やら韓国語が聴こえていたから、ドラマを観ていたのだろう。マスター、意外と海外ドラマとか観るんだなと思っていると、マスターはウトウト眠り始める。マスターは今何歳ぐらいなんだろう。初めてここにきてから、もう15年ぐらい経っている。昔はここで浴びるようにお酒を飲んでいたのに、今ではペースを気にしながら、薄い湯割りを飲んでいる。もちろん、コロナ禍だから気を遣っているのもあるし、前と違って歩いて帰れないのもあるけれど、やはり歳をとったのが大きいように思う。顔が赤くなるのも以前より早くなったような気がする。僕が歳を重ねたぶん、皆も歳を重ねている。あと何回忘年会ができるんだろうと思いながら帰途につく。